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キューブリックのEL写真(続) [1枚の写真から]

前回記事のトップ写真について、京葉帝都様から以下のコメントをいただきましたkichOiROtwEAmqy1633818117_1633823302.jpg(1)「EL大好き!とか言ってるくせに不勉強」を恥じて、この鬼線路周辺の画像見つけましたんでご紹介します。
メリケンのサイトTrolleydodgerから転載画像を主にご覧ください。
まずはキューブリックが撮った分岐部のアングル違い写真2枚~のちの巨匠は右手の煉瓦ビル屋上から撮ったんでしょうか?
シカゴEL10-cae-wells-street-terminal-tower-looking-west.jpg
(2・3)上写真のお電車は、2編成ともシカゴ交通局のものなんですが~下のは?
シカゴEL11-cae-eastbound-train-enters-wells-street-terminal.jpg
LIMITEDのサインを付けたこのお電車は、シカゴから真西に伸びるインタアーバンライン、Chicago Aurora & Elgin鉄道(以下CAE)のものですね。名前の3都市を結ぶインタアーバンですが、シカゴ近郊の通勤輸送がメインの鉄道でした。
同形車のモケーが我が家にありますが、たった1両ですから通勤急行には使えない・・D60AB502-8D05-4FF5-83B1-AFE2A7681A7D.jpeg(4)
スイマセン、今回はモケーネタじゃなかった・・

シカゴEL12-cae-westbound-train-leaving-wells-street-terminal.jpg(5)右に曲がっていく交通局の線路から分岐・直進した奥にはCAEの頭端式ターミナルがあったんですね。左下に路面を行くトラックが見えるようにこの線路も道路上のELでした。複々線から分かれたとたんに再び3線になるという鬼線路好きには痺れる線路配置ですね!シカゴEL9-cae-wells-street-terminal-tower-looking-west.jpg(6)ターミナル側から見た分岐部分、おお!シングルスリップなんかもあったりする!さらにターミナル寄りにはダブルクロスが2組という~日本ではやらない=贅沢配線の好きな近鉄でもやりそうにない配線です。シカゴEL7-cae-wells-street-terminal-looking-west.jpg(7)インタアーバンのターミナルに相応しく、可搬式のヘッドライトがホーム上に置かれています(日本なら前サボですよね)~ここに写ってるお電車はCAEの最終形式、1947年製の軽量設計車です。(8)モケー写真はこちら~メリケンインタアーバン最後の新車となったお電車です。。
~おっと線路配置センロハイチだ。
ゴチャゴチャ説明よりもお絵かきの方が分かり易い、ってことで下図をどうぞ。

IMG_0566 (1).jpg(9)やはりイミフな無駄の多い配線に見えますねえ、その意味では鬼線路?シカゴ6-cae-wells-street-terminal-looking-east.jpg(10)ビルの谷間のCAEターミナルは目まぐるしい変化を遂げます。メトロポリタンターミナルとして1905年に開業~1920年代に2・3階ファサード部分が増築されて、待合室やホームへのエレベーターが整備され、名称もWELLS STREET TERMINALとなりました。
IMG_0564.jpg(11・12)シカゴELa-cae-wells-street-terminal-facade.jpg
すぐ前のWELLS St.を走るLOOPの駅と接続してたのが、この写真でわかりますね。IMG_0563.jpg(13)戦後の1955年にはファサードは撤去されてしまい、LOOPに線路が繋がります=CAEが直通か?答えはNO!~詳しい説明は省きますがこのころはCAEは都心まで来なくなってしまい、旧CAEの線路にはCTA(シカゴ交通局)の電車が走っていました。

そんな目まぐるしい変化の末、京葉帝都様のコメントの通りに、この区間の線路すべてが消えてしまったのでした。(キャプションによれば、たった3年後の1958年に地下鉄開通によって廃止)シカゴEL14-cae-eb-train-crossing-chicago-river.jpg(14・15)運河を渡る可動橋や、旧ユニオンステーションのホーム上屋を跨ぐ電車も消えました。シカゴEL15-cae-38-wb-train-leaving-wells-street-terminal.jpgこの部分の廃止前年には、ここには来なくなっていたCAEも全線廃止となってしまいました~と、なんとまあ目まぐるしい・・・

NYといいシカゴといい、騒音振動の酷いELは消えていく運命だったのでしょうね。今やシカゴのランドマークであるLOOPですら、将来の廃止が取りざたされているとか・・・


ではまた。


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シグ鉄

どれだけ考えても3線渡りSS付きの存在意義がわかりません。アメリカだなぁ、、、
by シグ鉄 (2021-10-11 22:27) 

Cedar

■シグ鉄様
でしょう!?穴のあくほど写真見てるうちに一つの仮説が~配線図の一番下の線だけ有効長長くとるためではないかと・・?(12)にあとから増設されたらしいホームが写っていますので・・昔の近鉄上六の大阪線急行ホームと同じですね。
by Cedar (2021-10-11 22:56) 

シグ鉄

ホームがあるならわかります。仰るとおり長編成用かもしれませんし、単行や短編成が両ポイントの間で発着時、奥は奥で出入りできる。
あるいは強羅の様に降車と乗車でホーム別で縦に並ぶ?
軌道と鉄道の垣根が日本ほど高くない感じですね。
by シグ鉄 (2021-10-12 05:13) 

Chitetsu

これだけの設備を擁しながら、あっさり消えてしまうというのがビックリ。
やっぱりアメリカなんですね〜。
by Chitetsu (2021-10-12 14:25) 

Cedar

■シグ鉄様
あのあと、またいろいろな本を調べたら、そもそもは新聞・郵便急送用にに作ったホームを終端側に延長して関西私鉄に昔あった降車ホームとして使ったようです。
軌道と鉄道の垣根云々で言えば、アメリカの区別は本線系に1級以下の区別がありますが、日本の地方鉄道・軌道の区別は厳密ではないようです。
■Chitetsu様
キャピタリズムの非情はここでも、ですね。ここに発着していたCAEの廃業に至っては朝の通勤客が帰路に電車に乗ろうとしたら休止していた、というのですから!
by Cedar (2021-10-12 20:38) 

京葉帝都

CAEの車両は何両か保存されていますね。シカゴの高架鉄道の車両デザインは他都市に比べて洗練されているように見えます。都心にこんなに素敵な開閉橋があったとは。http://industrialscenery.blogspot.com/2015/12/metropolitan-l-bridge-and-1891-pueblo.html(industrialscenery.blogspot.com)
かつてループの外側に4か所の終着駅がありました。中にはラッシュ時にループに入りきれない列車を収容していたのもあったそうです。シカゴ派(建築)、シカゴ学派(経済学)、シカゴブルースや交響楽団(音楽)など、パワーのある文化を発信してきたこの大都会の最大のシンボルはやはりループではないでしょうか。究極の分散型ターミナルと捉えています。そのミニチュア版が富山市の路面電車と言えなくないかもしれません。
by 京葉帝都 (2021-10-12 22:58) 

京葉帝都

すみません。
リンク先へはhttp://industrialscenery.blogspot.com/2015/12/metropolitan-l-bridge-and-1891-pueblo.html
で飛べると思います。


by 京葉帝都 (2021-10-12 23:01) 

Cedar

■京葉帝都様
シカゴっって、CAEはループ直結の頭端式ターミナル、もう一つのインタアーバンCNS(ノースショア)はループに乗り入れ、CSS(サウスショア)はイリノイセントラルに乗り入れと、軌道系都市交通のお手本みたいな感じがします。最近やたらに乗り換え不便にして、自社の商業施設に誘導しようとする、アホな再開発が横行するアジアの某都市に比べるとなんと先進的だったことか・・・
ループも1度だけ利用しましたが、列車密度の高さはすごいですね。
by Cedar (2021-10-12 23:23) 

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